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地域医療に貢献する薬局の評価

地域支援体制加算新設、夜間・休日などの実績評価

地域包括ケアの中で地域医療に貢献する薬局を評価する「地域支援体制加算」を新たに設けた。これからの薬局には、かかりつけ薬剤師による適切な薬学的管理の提供に加え、あらゆる処方箋に対して、いつでも調剤サービスを提供できる体制の整備が求められているからだ。また、安全性向上に資する事例の共有(プレアボイドへの取組)なども含め、地域支援に積極的に貢献することにつなげる狙いもある。

地域支援体制加算の個別要件の分類

 医療機関・訪看ステーションと連携も


厚生労働省(厚労省)は、新設された「地域支援体制加算」(35点)について、「かかりつけ薬剤師が機能を発揮し、地域包括ケアシステムの中で地域医療に貢献する薬局について、夜間・休日対応等の地域支援の実績等を踏まえた評価」と説明している。

「地域支援体制加算」の施設基準は、11項目で構成されている。主に「管理・指導」「情報」「連携」に重点が置かれている。例えば、「管理・指導」については、患者ごとに適切な薬学的管理を行い、服薬指導も実施していることと、24時間調剤、在宅対応体制の整備していることが求められている。

「情報」については、▽患者の求めに応じて、投薬に係る薬剤に関する情報を提供している▽薬学的管理・指導の体制整備、在宅に係る体制の情報提供▽医療安全に資する取組実績の報告-が基準に盛り込まれた。また、「連携」については、在宅療養を担う医療機関、訪問看護ステーションとの連携体制に加え、保健医療・福祉サービス担当者との連携体制を整える必要がある。

このほか、一定時間以上の開局や十分な数の医薬品の備蓄や周知、地域医療に貢献する体制を有することを示す相当の実績、集中率85%超の薬局は、後発品の調剤割合が50%といったことが施設基準となっている。

この基準の中で、特にハードルが高そうなのが、地域医療に貢献する体制を有することを示す相当の実績だと見られる。常勤の薬剤師(1人当たり)が1年間に8項目の実績を全て満たす必要があるからだ。その内訳は、▽ 夜間・休日等の対応実績=400回▽麻薬指導管理加算の実績=10回▽重複投薬・相互作用等防止加算等の実績=40回▽かかりつけ薬剤師指導料等の実績=40回▽外来服薬支援料の実績=12回▽服用薬剤調整支援料の実績=1回▽単一建物診療患者が1人の在宅薬剤管理の実績 =12回▽服薬情報等提供料の実績=60回。

「地域支援体制加算」の要件に、「医療安全に資する体制・取組」が盛り込まれた。具体的には、前年1年間(1月1日-12月31日)に、疑義照会で処方変更が行われた結果、患者の健康被害や医師の意図した薬効が得られないことを防いだ事例を提供した実績があり、薬局機能情報提供制度の「プレアボイド事例の把握・収集に関する取組の有無」を「有」としていることが必要だ。これについては2019年4月以降に適用する。また、2018年10月以降は、副作用報告に係る手順書を作成し、報告を実施する体制となっていることも求める。

地域医療に貢献する薬局の評価

 24時間体制の周知、薬局から情報発信が必要


なぜ24時間体制を周知する必要があるのだろうか。「2016年度診療報酬改定の結果検証に係る特別報告」によると、地域における24時間対応の薬局の有無について、「なし」の割合は診療所では24.4%、病院では43.2%であった。「不明」という回答も診療所は23.8%、病院では38.1%あった。「不明」については、周知が行われていない可能性があるため、薬局から情報発信を行う必要性を挙げている。

「地域支援体制加算」の新設に伴い、「基準調剤加算」は廃止した。厚労省は2018年3月30日、都道府県などに対し、「疑義解釈資料の送付について(その1)」の事務連絡を行い、「地域支援体制加算」と「基本調剤加算」の関係性を明確にした。

両加算で共通する施設基準について、厚労省は「変更ないものとして取り扱ってよい」とした。また、改定前の基準調剤加算届出時の添付書類についても、内容に変更がなければ、「改めて同じ書類を添付しなくても差し支えない」としている。

平成28年度診療報酬改定(基準調剤加算の要件見直し)

 大病院に隣接の薬局に地域移行促す


地域医療に貢献する薬局の方向性については、厚労省が2015年10月に策定した「患者のための薬局ビジョン」で示されていた。医薬分業の進展などによって、薬剤師や薬局を取り巻く環境は大きく変化していることを指摘。医薬分業の原点に立ち返り、現在の薬局を患者本位の「かかりつけ薬局」に再編する必要があるとしていた。

患者本位の医薬分業の実現に向けて、▽服薬情報の一元的・継続的把握▽薬学的管理・指導▽24時間対応・在宅対応▽医療機関との連携-といった「かかりつけ薬剤師」などの今後の姿を明らかにし、中長期的視野で「かかりつけ薬局」の再編に関する道筋を示していた。

厚労省は、医療機関間の適切な役割分担を図るため、大病院の外来は紹介患者を中心とし、一般的な外来受診は、かかりつけ医に相談することを基本とするシステムの普及を目指している。2035年には、こうした医療提供体制の構築に合わせて、患者が地域で医療を受けることが多くなると想定。大病院に隣接している薬局については、建て替えの時期などを契機に地域に移行し、地域包括ケアシステムの一翼を担ってもらう考えだ。新設された「地域支援体制加算」は、この動きを後押しするツールになりそうだ。


【参考にした厚生労働省のホームページ】
平成30年度診療報酬改定の概要(調剤)
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000197985.pdf
疑義解釈資料の送付について(その1)
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000202132.pdf
●平成30年厚生労働省告示第43号 別表第3(調剤点数表)区分00
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000196304.pdf
●平成30年厚生労働省告示第45号(第15調剤 4地域支援体制加算:P119)
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000196317.pdf
●平成30年3月5日保医発0305第3号(第92 地域支援体制加算:P229)
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000203034.pdf

執筆:株式会社CBコンサルティング

本コンテンツは、厚生労働省の関連通知、疑義解釈資料(事務連絡)などをもとに作成しております。