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2018年度診療報酬改定 2020年度版はこちら

薬局における対人業務の評価の充実

かかりつけ薬剤師指導料、適切な評価で医療機能強化

2018年度診療報酬改定では、薬局における対人業務の評価を充実させる方向性が打ち出された。処方医に減薬の提案を行い、処方される内服薬が減少した場合を評価する「服用薬剤調整支援料」を新設。「服薬情報等提供料」については、保険医療機関の求めがあった場合の評価を見直した。

医療機関との連携として、疑義照会とは別に、フィードバックすることが有効と考えられる情報の内容

 患者の服薬アドヒアランスや副作用の可能性を検討


今回の診療報酬改定で新たに設けられた「服用薬剤調整支援料」(125点)は、患者の意向を踏まえ、患者の服薬アドヒアランスや副作用の可能性などを検討した上で、処方医に減薬の提案を行い、その結果、処方される内服薬が減った場合を評価するものだ。

6種類以上の内服薬が処方されていたものについて、保険薬剤師が文書を用いて提案し、患者に調剤する内服薬が2種類以上減少した場合、月1回に限って算定できる。

具体的には、該当する保険薬局で調剤している内服薬の種類数が2種類以上(このうち少なくとも1種類は保険薬剤師が提案したもの)減少し、その状態が4週間以上継続した場合に算定する。服用を開始して4週間以内の薬剤については、調整前の内服薬の種類数から除外する。屯服薬は対象外となっている。

また、調剤している内服薬と同一薬効分類の有効成分を含む配合剤、内服薬以外の薬剤への変更を保険薬剤師が提案して減少した場合は、減少した種類数に含めない。保険薬剤師は、処方医へ提案を行う際、減薬に係る患者の意向や提案に至るまでに検討した薬学的内容を薬剤服用歴の記録に記載する。保険医療機関から提供された処方内容の調整結果に係る情報についても、薬剤服用歴の記録に添付する。

該当する保険薬局で「服用薬剤調整支援料」を1年以内に算定した場合、前回の算定に当たって減少した後の内服薬の種類数からさらに2種類以上減少したときに限って新たに算定することができる。

薬局における対人業務の評価の充実①

「服薬情報等提供料」の評価を見直しも


「服薬情報等提供料」(20点)については、評価を見直し、「服薬情報等提供料1」(30点)と「服薬情報等提供料2」(20点)の2つに分けた。ただし、「かかりつけ薬剤師指導料」などを算定している場合は、「服薬情報等提供料」を算定できない。

医療機関に対し、▽患者の服用薬▽服薬状況▽患者の服薬指導の要点、患者の状態等▽患者が容易に、または継続的に服用できるための技術工夫等の調剤情報―について文書等で情報提供を行い、保険医療機関が保険薬局に対し、例えば向精神薬の減薬の場合に副作用の発現状況のフォローの指示を出した場合、「服薬情報等提供料1」を算定できる。

「服薬情報等提供料2」は、患者等への情報提供や必要な指導を行った場合、算定できる。厚労省は、具体的な例として、医薬品緊急安全性情報や医薬品・医療機器等安全性情報などを挙げている。

薬局における対人業務の評価の充実②


なぜ「服薬情報等提供料」の見直しが必要だったのか。厚労省は「患者の服薬状況や服用期間中の体調変化について、薬局から医療機関にフィードバックすることが有効と考えられている」と指摘。この必要性が保険薬局で認識されており、取組が広がっていることを理由として挙げている。

薬局の機能に係る実態調査(厚労省医療課委託調査)では、疑義照会とは別に、医療機関にフィードバックすることが有効と考えられる情報の内容については、「患者が他院からもらっている薬剤の情報」「患者の服薬アドヒアランス」「患者の治療中の体調変化」「患者から受けた治療に関する相談」などの回答が目立った。また、医療機関へのフィードバックについては、「必要」「内容によっては必要」との回答が調査対象全体の9割超を占めていた。

「薬剤服用歴管理指導料」についても評価を見直した。原則6月以内に再度処方箋を持参した患者に行った場合(38点)や、原則6月以内に再度処方箋を持参した患者以外の患者に対して行った場合(50点)、特別養護老人ホーム入所者に対して行った場合(38点)の3項目の点数をそれぞれ3点増やした。

薬局における対人業務の評価の充実③

「薬剤を減らしたい」、患者の意向を尊重


なぜ厚労省は薬局における対人業務の評価を充実させる方向に舵を切ったのか。その理由の1つが「多剤投薬」だ。厚労省は、診療報酬改定の結果検証に係る特別調査を取り上げ、「高齢であるほど、定期的に内服する薬の種類が多くなる傾向がみられた」と指摘。65歳以上では約4割、80歳以上では6割の患者が「7種類以上」内服しているという。

また、厚生労働科学研究の長寿科学総合研究事業で導かれた結果にも触れ、高齢者では6剤以上の投薬が特に有害事象の発生増加に関連していることを問題視した。「服薬回数が多いほど、薬剤が正しく服用されにくくなる」と服薬アドヒアランスの低下を指摘している。

これまでの疑義照会と多剤投薬の適正化に係る提案とは、どう違うのか。厚労省は、疑義照会は「薬の受け渡し時における処方内容に係る照会」、多剤投薬の適正化に係る提案は「薬の受け渡し時以外の患者の意向を尊重した薬学的観点からの処方医への提案」と明確に分けて説明している。

例えば、「薬剤を減らしたい」との患者の意向を尊重し、保険薬局が副作用の可能性などを検討し、一定期間使用している薬の必要性を患者と相談。その上で処方医に減薬を提案する。処方医もその場で判断するのではなく、患者の症状や治療経過を精査して減薬を検討する。こうした提案で患者に調剤する内服薬が2種類以上減少した場合、月1回に限り算定できるようにした。


【参考にした厚生労働省のホームページ】
平成30年度診療報酬改定の概要(調剤)
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000197985.pdf
平成30年厚生労働省告示第43号 (別表第3(調剤点数表)10薬剤服用歴管理指導料:P4、14の3服用薬剤調整支援料:P6、15の5服薬情報等提供料:P7)
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000196304.pdf
平成30年3月5日保医発0305第3号 (第97 薬剤服用管理指導料の注9:P206)
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000203034.pdf

執筆:株式会社CBコンサルティング

本コンテンツは、厚生労働省の関連通知、疑義解釈資料(事務連絡)などをもとに作成しております。