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常勤の薬剤師に係る週当たりの勤務時間の特例

育児・介護時の例外規定を設ける

常勤の薬剤師に係る週当たりの勤務時間の要件について、育児・介護時の例外的な取り扱いを調剤報酬で明確化した。1つの保険薬局に常勤している薬剤師が、育児・介護休業法で定める短時間勤務を行う際の例外規定を設けた。

「相当数の薬剤師が子育て世代に該当」


「かかりつけ薬剤師指導料及びかかりつけ薬剤師包括管理料」の施設基準は、「当該保険薬局に週32時間以上勤務している」となっていたが、これに追記するかたちで、改定案では「32時間以上勤務する他の保険薬剤師を届け出た保険薬局において、育児・介護休業法で定める期間は週24時間以上かつ週4日以上である場合を含む」との例外規定を設けた。

これに伴い、育児・介護中で例外規定に該当する場合は「週32時間以上勤務」が適用されず、「週24時間以上かつ週4日以上勤務」の緩和措置がとられることとなった。

厚労省は、なぜ育児・介護休業法で定める短時間勤務を行う際の例外規定を設けたのか。厚労省は、2017年11月8日に開かれた中央社会保険医療協議会の総会で、近年、女性の医療従事者数が職種を問わず、増加していることを指摘していた。

その上で、「かかりつけ薬剤師指導料」の施設基準を取り上げ、「当該保険薬局に週32時間以上勤務している保険薬剤師を配置することとしている中、相当数の薬剤師が子育て世代に該当している」とし、保険薬剤師が短時間勤務する場合の課題を解決する必要があるとの方向性を示していた。

その際、具体的な論点案を示した。「かかりつけ薬剤師指導料」の1週間当たりの勤務時間の要件について、厚労省は「子育て世代などの薬剤師が、育児・介護休業法に基づいて短時間勤務する場合に、他の薬剤師との連携も図りながらかかりつけ薬剤師として活躍できるよう、基準を見直してはどうか」と提案していた。

 週32時間以上の勤務、育児・介護中は高いハードルに


「かかりつけ薬剤師指導料」は2016年度診療報酬改定で新設された。患者が選択した「かかりつけ薬剤師」が、処方医と連携して患者の服薬状況を一元的・継続的に把握した上で、患者に対して服薬指導などを行う業務を薬学管理料として評価している。1回につき70点算定できる。「薬剤服用歴管理指導料」と「かかりつけ薬剤師包括管理料」、「在宅患者訪問薬剤管理指導料」(当該患者の薬学的管理指導計画に係る疾病と別の疾病又は負傷に係る臨時の投薬が行われた場合は除く)と同時に算定はできない。

算定要件は、▽患者が選択した保険薬剤師が患者の同意を得た上で、同意を得た後の次の来局時以降に算定できる▽同意については、当該患者の署名付きの同意書を作成した上で保管し、その旨を薬剤服用歴に記載する▽患者1人に対して、1人の保険薬剤師のみがかかりつけ薬剤師指導料を算定できる。かかりつけ薬剤師以外の保険薬剤師が指導等を行った場合は算定できない(要件を満たせば、薬剤服用歴管理指導料は算定できる)などとなっている。

このような要件に加え、患者から24時間相談に応じる体制をとり、患者に開局時間外の連絡先を伝え、勤務表を交付することも求められている。施設基準についても「当該保険薬局に週32時間以上勤務していること」を満たすことが必要で、育児・介護中の薬剤師にはハードルが高かった。

 緩和措置の明確化、ハラスメント防止の環境整備にも


厚労省が「年齢階級別に見ると、相当数の薬剤師が子育て世代にあたる」との見解を示した根拠になったのが、医師・歯科医師・薬剤師調査だ。調査によると、女性の薬剤師については、「29歳以下」が全体の13.7%、「30-39歳」が24.6%、「40-49歳」が24.9%を占めており、女性薬剤師の過半数が子育ての時期に該当する可能性を示唆している。

厚労省は、こうした状況に加え、薬剤師にも育児・介護休業法の遵守が求められていることも考慮する必要があった。育児・介護休業法には「短時間勤務の措置」が盛り込まれている。3歳に達するまでの子を養育する労働者について、短時間勤務の措置(1日原則6時間)を義務付けている。

介護を行う労働者についても、▽短時間勤務制度▽フレックスタイム制▽始業・終業時刻の繰り上げ・繰り下げ▽介護費用の援助措置等を3年間で2回以上利用できるとしている。事業主が育児休業などを取得したことを理由に解雇したり、不利益な取り扱いをしたりすることも禁止しており、苦情処理・紛争解決援助、調停に加え、勧告に従わない事業所名を公表するといった実効性のある措置も確保している。

事業主に対しては、上司や同僚からの育児休業などに関するハラスメントの防止措置を講じることも義務付けている。育児・介護休業法で定める短時間勤務を行う際の例外規定による緩和措置が明確になったことで、ハラスメントなどが起きない職場環境の整備にもつながりそうだ。


【参考にした厚生労働省のホームページ】
平成30年度診療報酬改定について 1.個別改定項目について
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000193708.pdf
平成30年度診療報酬改定の概要(医科Ⅰ)
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000198532.pdf
中央社会保険医療協議会総会(第368回) 横断的事項(その4)
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000183841.pdf

執筆:株式会社CBコンサルティング

本コンテンツは、厚生労働省の関連通知、疑義解釈資料(事務連絡)などをもとに作成しております。