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感染防止対策加算の要件の見直し

抗菌薬適正使用支援加算を新設

薬剤耐性(AMR)対策の推進の観点から感染防止対策加算の要件を見直した。厚生労働省は、抗菌薬の適正使用を進めようと、感染防止対策加算において、抗菌薬適正使用支援チームの取組に係る加算を新設したほか、「感染防止対策加算1」と「感染防止対策加算2」の点数も見直した。

 院内に抗菌薬適正使用支援チームを設置


「抗菌薬適正使用支援加算」(100点)を新たに設けた。「感染防止対策加算1」と「感染防止対策加算2」については、それぞれ10点減らし、同1は390点、同2は90点とした。

感染防止対策加算は、規定された院内感染防止対策を行った上で、院内に感染制御のチームを設置し、院内感染状況の把握、抗菌薬の適正使用、職員の感染防止といった院内感染防止を行うことを評価する。該当する保険医療機関に入院している患者について、入院期間中1回に限り、入院初日に算定できる。

新設された「抗菌薬適正使用支援加算」の算定要件については、▽院内に抗菌薬適正使用支援のチームを設置する▽感染症治療の早期モニタリングと主治医へのフィードバッグ▽微生物検査・臨床検査の利用の適正化を図る▽抗菌薬適正使用に係る評価を行う▽抗菌薬適正使用の教育・啓発等を行い、抗菌薬の適正使用を推進する―ことが盛り込まれた。

 職員研修やマニュアル作成も業務に


この加算の施設基準は、大きく分けて4つある。1つ目は、「感染防止対策地域連携加算」を算定していることだ。この加算は、「感染防止対策加算1」を算定する医療機関同士が少なくとも年1回程度、お互いの医療機関に赴き、相互に感染防止に関する評価を行った場合に加算できる。院内感染防止対策の推進を図る目的がある。

2つ目は、抗菌薬適正使用支援チームを組織し、抗菌薬の適正使用の支援に係る業務を行うことだ。このチームの構成員は、▽感染症の診療について3年以上の経験がある専任の常勤医師▽5年以上感染管理に従事した経験があり、感染管理に係る適切な研修を修了した専任の看護師▽3年以上の病院勤務経験を持つ感染症診療にかかわる専任の薬剤師▽3年以上の病院勤務経験を持つ微生物検査にかかわる専任の臨床検査技師―となっている。

3つ目は、抗菌薬適正使用支援チームの業務だ。広域抗菌薬などの特定の抗菌薬を使用する患者、菌血症などの特定の感染症兆候のある患者、免疫不全状態などの特定の患者集団などの感染症早期からモニタリングを実施する患者を施設の状況に応じて設定し、この対象患者を把握する。

その後、▽適切な微生物検査・血液検査・画像検査などの実施状況▽初期選択抗菌薬の選択・用法・用量の適切性▽必要に応じた治療薬物モニタリングの実施▽微生物検査などの治療方針への活用状況といったことについて「経時的に評価し、必要に応じて主治医にフィードバックを行う」としている。

適切な検体採取と培養検査の提出に加え、施設内のアンチバイオグラムの作成など、微生物検査・臨床検査が適正に利用可能な体制を整備する必要がある。また、抗菌薬の使用状況や血液培養複数セット提出率などのプロセス指標、耐性菌発生率、抗菌薬使用量などのアウトカム指標を定期的に評価することも抗菌薬適正使用支援チームの業務となっている。

職員の研修やマニュアルの作成も業務に入っている。研修は抗菌薬の適正な使用を目的としたものを少なくとも年間2回程度実施するほか、院内の抗菌薬使用に関するマニュアルを作成することも求められている。

4つ目は、相談の受け付け状況だ。抗菌薬適正使用支援チームが、抗菌薬適正使用支援加算を算定していない医療機関から、必要な時に抗菌薬適正使用の推進に関する相談を受けていることも施設基準となっている。

疑義解釈で感染制御チーム構成員と「兼任可能」


なぜ、「抗菌薬適正使用支援加算」が新たに設けられたのか。抗菌薬の使用をめぐっては、不適切な使用に伴い、薬剤耐性菌が世界的に増加している。その一方で、新たな抗菌薬の開発は減少傾向となっており、「国際社会でも大きな課題」(厚労省)となっている。

2015 年5月の世界保健総会では、薬剤耐性に関するグローバル・アクション・プランが採択され、加盟国は2年以内に薬剤耐性に関する国家行動計画を策定するよう求められた。これを受け、国は「薬剤耐性に関する検討調整会議」を設置し、関係省庁と議論や調整を行い、2016年4月に開かれた関係閣僚会議で、日本初のアクションプランを決定。2017年6月には「抗微生物薬適正使用の手引き」(第一版)を発行するなど、医療機関における抗菌薬の適正使用を進めている。

厚労省は2018年3月30日、都道府県などに対し、「疑義解釈資料の送付について(その1)」の事務連絡を行い、抗菌薬の適正使用の周知を行った。「疑義解釈」では、抗菌薬適正使用支援チームの構成員について、感染症防止対策加算で規定されている感染制御チームの構成員と「兼任可能」との見解を示している。

また、抗菌薬の適正な使用を目的とした院内研修の対象者については、「医師、看護師、薬剤師、臨床検査技師など、抗菌薬に関わる業務に従事する職員を対象にする」としている。「疑義解釈」では4問を抗菌薬の適正使用に割いており、厚労省が周知に本腰を入れている姿勢が見られる。今後、中央社会保険医療協議会診療報酬改定結果検証部会で影響の検証などが行われる見通しだ。


【参考にした厚生労働省のホームページ】
平成30年度診療報酬改定の概要(医科Ⅰ)
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000198532.pdf
平成30年度診療報酬改定について 1.個別改定項目について
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000193708.pdf
平成30年厚生労働省告示第43号(別表第1(医科点数表)<第1章>入院料等A234-2感染防止対策加算 注3抗菌薬適正使用支援加算)
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000196287.pdf
平成30年厚生労働省告示第44号(29の2感染防止対策加算の施設基準等)
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000196314.pdf
平成30年3月5日保医発0305第2号(第21感染防止対策加算)
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000205633.pdf
薬剤耐性(AMR)対策について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000120172.html
疑義解釈資料の送付について(その1)
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000202132.pdf

執筆:株式会社CBコンサルティング

本コンテンツは、厚生労働省の関連通知、疑義解釈資料(事務連絡)などをもとに作成しております。