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外来診療等における抗菌薬の適正使用の推進

患者・家族の理解向上に資する診療を評価

小児科外来診療料・小児かかりつけ診療料において、抗菌薬の適正使用に関する患者・家族の理解向上に資する診療を評価する加算を新設した。

 施設基準に「地域感染症対策ネットワーク」活動参加も


新たに設けられたのは「小児抗菌薬適正使用支援加算」(80点)。急性気道感染症または急性下痢症で受診した基礎疾患のない患者で、診察の結果、抗菌薬の投与の必要性が認められないため抗菌薬を使用しないものが対象となっている。療養上必要な指導および検査結果の説明を行い、文書で説明内容を提供した場合、小児科のみを専任する医師が診療を行った初診時に限り算定する。インフルエンザ感染の患者またはインフルエンザウイルス感染の疑われる患者については、算定できない。

施設基準に関しては、薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン(2016年4月5日、国際的に脅威となる感染症対策関係閣僚会議)に位置付けられた「地域感染症対策ネットワーク(仮称)」に係る活動に参加していること、または感染症にかかる研修会等に定期的に参加することが求められている。また、該当する保険医療機関が病院の場合、データ提出加算2に係る届出を行っていることも施設基準となっている。

再診料の地域包括診療加算、認知症地域包括診療加算、地域包括診療料、認知症地域包括診療料、小児科外来診療料および小児かかりつけ診療料の要件として、「抗微生物薬適正使用の手引き」(厚生労働省健康局結核感染症課)を参考に、抗菌薬の適正使用の普及啓発に資する取組を行っていることを追加した。また、薬剤服用歴管理指導料については服薬指導に当たって当該取組を行っていることが望ましいとされた。

 高齢者施設などの薬剤耐性微生物による感染症を問題視


薬剤耐性(AMR)対策アクションプランでは、「医療、介護における感染予防・管理と地域連携の推進」を、薬剤耐性微生物の拡大を防止する戦略の1つに位置付けている。2012年度の診療報酬改定で、地域における中小規模の医療機関の感染防止対策を支援するため、感染防止対策地域連携加算が創設され、「医療機関間の感染対策ネットワーク」が構築されつつあることを背景として挙げている。

これまで感染管理または感染制御と呼ばれてきた取組についても「感染予防の役割が重視されるようになり、感染予防・管理(IPC)として一体的に取り組まれるようになってきている」と記載。その一方で、近年では、高齢者施設などで薬剤耐性微生物(ARO)による感染症が問題になっていることを指摘。「より幅広い概念として、医療関連感染症(HAI)に対する取組が進められているが、現行の院内感染対策は、医療機関の入院部門を主な対象としており、外来部門や高齢者施設等は対象として明示されていない」としている。

こうした状況を踏まえ、感染予防・管理(IPC)に関する地域の病院と関係機関(診療所、薬局、高齢者施設、保健所、地方衛生研究所等)が連携した活動を広げ、地域における総合的な感染症対策ネットワークの具体的な活動モデルを構築し、段階的に全国での整備を支援するといった方針をアクションプランに明記している。

感染予防・管理(IPC)と地域連携の推進の取組の中で「感染予防・管理(IPC)の推進及び連携強化」の項目を設け、地域における感染防止対策の具体的な活動モデル(「地域感染症対策ネットワーク(仮称)」)の開発に資する調査研究を実施することを記載。この戦略の評価指標の1つに、「要件を満たす『地域感染症対策ネットワーク(仮称)』を設立した自治体数」を挙げている。

「抗微生物薬適正使用の手引き」を参考にすることを要件に


再診料の地域包括診療加算などの要件において、参考にすることが求められている「抗微生物薬適正使用の手引き」(2017年6月1日発行)は、厚労省が主に外来診療を行う医療従事者(特に診察や処方、保健指導を行う医師)を対象に作成したものである。厚労省は、この手引きの概要を記載したダイジェスト版を約20万部作成し、2017年9月に全国の自治体や関係団体に配布し、手引きの普及に努めている。

手引きでは、抗微生物薬は現代の医療で重要な役割を果たしており、感染症の治癒、患者の予後の改善に大きく寄与してきたとする一方、不適正な抗微生物薬の使用に伴う有害事象として、薬剤耐性菌とそれに伴う感染症の増加が国際社会でも大きな課題の1つに挙げられるようになってきていることを説明している。また、「不適正な抗微生物薬使用に対してこのまま何も対策が講じられなければ、2050年には全世界で年間1000万人が薬剤耐性菌により死亡することが推定されている」と記載。アメリカでは処方された抗微生物薬の不適正使用が30%程度であると示されており、日本における抗微生物薬の不適正使用の頻度・現状は現状判然とはしていないが、不適正使用は一定数存在することが推測される。それを踏まえて「日本でも抗微生物薬の適正使用を推進していく事が必要である」としている。

手引きとそのダイジェスト版には、特に適正使用が求められている「急性気道感染症」と「急性下痢症」についての診断・治療手順のフローチャートを掲載。抗菌薬の処方についても、患者や家族に説明する際のポイントなどを記載している。


【参考にした厚生労働省のホームページ】
平成30年度診療報酬改定の概要(医科Ⅰ)
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000198532.pdf
薬剤耐性(AMR)対策について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000120172.html
平成30年厚生労働省告示第43号 別表1(医科点数表)<第2章>特掲診療料 第1部医学管理等 B001-2小児科外来診療料 注4、B001-2-11 小児かかりつけ診療料 注4
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000196288.pdf
平成30年3月5日保医発0305第1号 別添1(医科点数表)B001-2 小児科外来診療料(12)、B001-2-11 小児かかりつけ診療料(9)
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000205632.pdf
平成30年3月5日厚生労働省告示第45号 3の2、4の8の3(2)小児抗菌薬適正使用支援
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000196317.pdf
平成30年3月5日保医発0305第3号 第5小児科外来診療料、第6の8の3小児かかりつけ診療料
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000205634.pdf

執筆:株式会社CBコンサルティング

本コンテンツは、厚生労働省の関連通知、疑義解釈資料(事務連絡)などをもとに作成しております。