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2018年度診療報酬改定 2020年度版はこちら

向精神薬処方の適正化

処方箋料が減算となる多剤処方の範囲拡大

処方料・処方箋料が減算となる多剤処方の範囲を拡大した。それとともに多剤処方時の処方料・処方箋料等の報酬水準を適正化した。また、向精神薬の多剤処方等の状態にある患者について、減薬した上で薬剤師又は看護職員と協働して症状の変化等の確認を行っている場合の評価(処方料・処方箋料)を新設した。

 1年以上の同一用法・用量の継続処方も適正化


改定前の処方料・処方箋料については、▽3種類以上の抗不安薬▽3種類以上の睡眠薬▽3種類以上の抗うつ薬▽3種類以上の抗精神病薬―の投薬を行った場合、処方料が20点、処方箋料が30点となっていた。

2018年度診療報酬改定では、これに「4種類以上の抗不安薬及び睡眠薬」の投薬を行ったケースを加え、多剤処方の範囲を拡大した。「報酬水準を適正化する」として、処方料と処方箋料をそれぞれ2点減らし、処方料を18点、処方箋料を28点とした。薬剤料についても、同様に多剤処方の範囲を拡大した。

また、ベンゾジアゼピン受容体作動薬である抗不安薬・睡眠薬を、1年以上同一の用法・用量で継続処方している場合について、処方料・処方箋料を適正化し、処方料29点、処方箋料40点を新たに設けた。

算定要件については、2018年4月以降の処方において、「ベンゾジアゼピン受容体作動薬である抗不安薬等を1年以上連続して同一の用法・用量で処方している場合」とした。ただし、不安もしくは睡眠障害に係る適切な研修等を修了した医師が行う場合、または精神科医から抗不安薬等の処方について助言を得ている場合を除くとした。

 多剤処方状態の患者の減薬に関する評価を新設


新たに設けられた処方料の評価は「向精神薬調整連携加算」(12点)、処方箋料の評価は「向精神薬調整連携加算」(12点)。算定要件については、直近の処方時に、向精神薬の多剤処方の状態にあった患者、またはベンゾジアゼピン受容体作動薬である抗不安薬・睡眠薬を「1年以上同一の用法・用量で継続処方していた患者」が対象。その患者に関して、直近の処方から抗不安薬等の種類数または1日当たりの用量が減少したものについて、薬剤師(処方料については薬剤師または看護職員)に処方内容の変更を伴う状態の変化の確認を指示した場合を挙げている。

 薬剤数・処方期間の取り扱いの見直しを提案


2017年10月18日に開催された中央社会保険医療協議会の総会で、厚労省は、ベンゾジアゼピンが睡眠薬、抗不安薬の両方に含まれることや、その依存性などを考慮し、「薬剤数や処方期間などの取扱いの見直しや、薬剤師・薬局等と連携した適切な薬物療法の推進に資する評価を検討してはどうか」と提案していた。

厚労省は、精神疾患を有する外来患者数の推移(厚生労働省「平成26年患者調査の概況」)について、「疾病別内訳をみると、『認知症』、『気分(感情)障害』、『神経症性障害、ストレス関連障害及び身体表現性障害』の患者数が特に増加している」と指摘した。

ベンゾジアゼピンの依存性に関しては、▽向精神薬は、承認用量内であっても、長期に投薬されることで、依存形成のリスクがあるとの指摘がなされている▽海外では、投与期間制限を設けている場合がある▽日本では、向精神薬の多くは、30日以内が1回の処方あたりの投薬期間の上限となっている―ことなどを課題として挙げた。

診療報酬上の評価についても、向精神薬3種類以上を処方されている患者の場合に依存のリスクが高まること等から、2012年度以降、同一薬効の薬剤を3種類以上処方される場合には、処方箋料等が減算されていることや、精神科では、原則として精神科継続外来支援・指導料が算定できない取扱いとしていることを説明。また、医師が処方時に指示した場合には、薬局において、分割して調剤することができる取扱いとなっているとした。

向精神薬の処方の状況も取り上げた。「催眠鎮静薬・抗不安薬」または「精神神経用剤」のいずれか3種類以上を投薬されている患者の割合は29%であることや、向精神薬1剤のみの処方の場合、60%前後が「催眠鎮静薬・抗不安薬のみの処方」だったことを指摘。院内処方で向精神薬を1剤のみ処方されている患者のうち、通院・在宅精神療法を算定する患者は10%未満だったことや、向精神薬の投薬期間をみると、22日以上投薬している処方が80%以上であったことを説明した。

また、海外では、効果及び依存形成のリスクからベンゾジアゼピンの投与期間が制限されている場合があるとし、英国、フランス、カナダ、デンマークの4カ国の「投与期間等の考え方」を示した。例えば、英国(医薬品・医療製品規制庁 医薬品安全委員会)では、「重度の不安に対しベンゾジアゼピンは短期間での使用(2~4週までに留める)と限定(1988年)」、「漸減期間を含め処方期間は最長で4週までと改めて注意喚起(2011年7月)」といった対応を説明した。


【参考にした厚生労働省のホームページ】
平成30年度診療報酬改定の概要(医科Ⅰ)
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000198532.pdf
平成30年厚生労働省告示第43号(別表1(医科点数表) <第2章>第5部投薬 F100処方料、F200薬剤料、F400処方箋料)
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000196292.pdf
平成30年3月5日保医発0305第1号(別添1(医科点数表) F100処方料、F200薬剤料、F400処方箋料)
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000205632.pdf
中央社会保険医療協議会総会(第364回) 個別事項(その4:精神医療)
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000180987.pdf

執筆:株式会社CBコンサルティング

本コンテンツは、厚生労働省の関連通知、疑義解釈資料(事務連絡)などをもとに作成しております。